ユーフィ:ユーフィ・レバンノ

アーベル:アーベル・サルマン

レスト:レスト・アルデッド

 :      

 :      

 :      デンテルの死体を前に立つユーフィ

 :      

ユーフィ:あの男の時は自らの油断が誤った結果を生んだ。次は確実に自分で処理しなくてはな

 

アーベル:アンタがその女を殺したのか

 

ユーフィ:貴様は…フォース。

 

アーベル:…ハッ。無様な姿だ。

 

ユーフィ:何しに此処へ来た

 

アーベル:アンタを探してただけさ。そしたらたまたまその女の死に様を目にした

 

ユーフィ:ほぅ。てっきりレコードVI(シックス)に手を貸しに来たのかと思っていたが?

 

アーベル:バカ言うなよ。ソイツはダーヴィンとは繋がりがあったみたいだが、俺の知る所じゃない。何を考えてるのかもよく分からない女だ。俺はもう関わり合いにならなくて済んだと思ってる

 

ユーフィ:貴様も大概だがな

 

アーベル:……。

 

ユーフィ:ダーヴィン・スレイフの仇でも討ちに来たか

 

 

アーベル:仇?勘違いするな……あの男は俺に取っちゃ有り難迷惑な存在だった。

アーベル:勝手に俺を拾って、飯を与えて、殺しの業(わざ)を身につかせた。何のためにそんな事したのかなんて俺は知らないし、今となっちゃどうでもいい事だ

アーベル:だが、俺がダーヴィンに関わった事で、要らぬ被害が俺に降り掛かるかもしれない。俺は俺の人生がある。アンタらに振り回されるつもりは無い

 :      銃をユーフィに向ける

アーベル:だからこそ、危険で不要な根は、ココで残らず燃やし尽くしておくのさ

 

ユーフィ:……本当に似ている。あの男の子供じゃなかったとしても、やはり育てられた元の身。あの男も死ぬ間際に同じセリフを吐いていたな

 

アーベル:…アイツと俺を一緒にするな。反吐が出る

 

ユーフィ:同じさ。貴様もあの男の様に、その捨て台詞を後に死を迎え……

 :      銃声と共にすかさず刀を抜き、銃撃を弾く

アーベル:……此処で死ぬのはテメェだ…!ユーフィ・レバンノ…!!

 

ユーフィ:……フンっ!!

 :      ユーフィの斬撃を銃で受け止める

アーベル:……っ……!!

 

ユーフィ:貴様の身に付けたその技術は、タダの付け焼き刃に過ぎない。

 

アーベル:知りもしない癖に俺を語るなよ…!ファーストォ!!

 :      刀を弾き距離を取ると銃弾を放つ

ユーフィ:……フッ…!!

 :      銃弾を弾く

ユーフィ:言ったハズだ。私には貴様らを見下ろすこの目があると

 

アーベル:だからなんだ!こっちの動きが読めるとでも言うか?

 :      何発も銃弾を放ち続けそれを弾き続ける

ユーフィ:これは…!経験の差だ…!

 :      銃弾を弾きながら一瞬で間を詰めユーフィが切りつけ飛ばされる

アーベル:……ガハッ……!!

 

ユーフィ:……ふむ…手応えが無かったな

 

アーベル:……っ……!ウソ言うんじゃねぇよ……!咄嗟に銃を盾にしなきゃ……斬られてたぞ……!!

 :      よろめきながら立ち上がる

ユーフィ:あぁ。まさに貴様を切りつけたつもりだったのだが…これは誤算だ

 

アーベル:……おかげで、片方の相棒がおシャカだ…。チッ…どう落とし前つけてくれようか……?

 

ユーフィ:貴様の命を持って償おう。フンっ…!!

 :      何度も刀を振り下ろしてくる。受け止めるアーベル

アーベル:…クッ……!!……グゥッ……!!クソっ……!!このまま距離を詰められてちゃ時間の問題だな……!!

 :      アーベルが壁に向け複数の弾丸を放つ

アーベル:〘トリックショット!!〙

 :      ユーフィが咄嗟に刀を振る

ユーフィ:……ッ……!?

ユーフィ:……なんださっきのは…!?銃弾が壁から跳ね返って……!!

 

アーベル:驚いてる暇は無いぞ…!!(被せる)

 :      無数の跳弾を弾き返す

ユーフィ:フンっ!!こんなモノがずっと通用すると思って……(顔を上げる)

ユーフィ:……!?消えた……!?まさか気をそらして……!?

 

アーベル:気づくのが遅かったな…!

 :      背後から撃たれるユーフィ

ユーフィ:……ガァッ……!!

 

アーベル:アンタを追い込むなら、何かしらの不意を突かないといけないのは分かってた。不本意ではあったが、ダーヴィンの形見は無事、アンタを貫いたワケだ

 

ユーフィ:……クッ……!………ッ……!!

 

アーベル:どうだ?アンタが殺した相手の獲物に、仕留められた気持ちは

 

ユーフィ:……ふざけるな……ふざけるなァァア!!図に乗るなよ!!ゴミがァァアア!!

 :      ユーフィが飛び込んで来て壁に押し出される

アーベル:……ッ……!!

 

ユーフィ:消え伏せろ!!

 

レスト:ヒャッハァァァァァァ!!

 :      振りかざした刀をレストが止める

ユーフィ:………!?貴様はっ……!!

 

レスト:なんだなんだァ?ずいぶんと楽しそうな事してんじゃねェかァ。俺様も混ぜろよなァァァアア!!

 :      レストがユーフィを押し返す

ユーフィ:……クッ……!!

 

アーベル:……お前は……!レスト・アルデッド……!

 

レスト:あァ?んだテメェ?おぉぅ、テメェ新入りかァ!そんな場所にへばってやがるからとっくに死んでやがるのかと思ってたぜェ!ケヒヒッ

 

アーベル:…んだとっ……!

 

‪レスト:‬あんな強気な態度取っといてこれじゃあざまぁねェなァ?

 

ユーフィ:……やはり、レミーでは貴様を仕留める事は出来なかったか…

 

‪レスト:‬あぁん?当たりめェだァ!あんな奴、ただの肉塊となんら変わりねェよ。俺を殺したいならアイツじゃ話しにならねェ

 

ユーフィ:そうか。悪いが私も貴様の相手をしてやる暇は無い。そこを退け

 

‪レスト:‬オイオイ、ツレねぇじゃねェか。俺にあんなゴミ譲っといて、自分はこっそりお楽しみかァ?

 

ユーフィ:……なにを言っている

 

‪レスト:‬どうせならよォ、こんなくたばってるヤツなんかより…俺とお楽しみと行こうぜェ!!ヒャッハァァァァァァ!!

 :      鎌を振り下ろし受け止めるユーフィ

ユーフィ:……っ……!貴様と言う奴はっ…!いつもいつも……!問題ばかり…!

 

‪レスト:‬悪ぃなァ、こうなるとどうにも歯止めが効かねェエ!!

 

ユーフィ:……フッ…!!…クッ……!!

 :      弾き合う金属音

‪レスト:‬オラオラどうしたァア!退屈させた分もっと楽しませろよなァ!!

 

ユーフィ:図に乗るなァアッ!!

 :      勢い良く弾いてレストを退かせる

‪レスト:‬おぉっとォ…!!

 

ユーフィ:……いいだろう…。そこまで言うなら、先に貴様から始末してやる…!どちらにせよ、どちらも此処で始末するのは変わらない…!!

 

‪レスト:‬イイネイイネェ!!いつもはノリが悪ぃテメェも、今日はノリノリだなァ!!面白ェじゃねェかァ!!

 

アーベル:あのファーストと…互角に並んでる…!?いや、今の状況で言うならあの戦闘狂のが有利だ…

アーベル:動きと言い、言動と言い、無茶苦茶だ…。なんなんだ…あの男は…

 

ユーフィ:さぁ!貴様の大好きな死合いの始まりだ…!!

ユーフィ:ハァァアッ!!

 :      弾き合う金属音

‪レスト:‬よォ!!オラァ!!ハッハァアッ!!

‪レスト:‬滾(たぎ)るぜェ!サイッコーに今滾りやがる!!この瞬間をまだ味合わせてくれよなァア!!

 

ユーフィ:フンっ!!……いいや、言ったハズだ…!時間をかけるつもりは毛頭ない…!

 :      ユーフィが目を閉じ再度開く

ユーフィ:〘暗黒無双ーあんこくむそうー〙

 :      目を見たレストの視界が真っ暗に暗転する

レスト:……ァ!?んだこりゃ……!?

 

ユーフィ:貴様の目の前にあるのは暗闇だけだ。聴覚は錯覚を起こし、方向性を失う。いくら動きが俊敏(しゅんびん)で互角の力で打ち合おうと、身動きが取れなくなった貴様は格好の的だ

 :      無防備なレストの体を語りながら切りつけていく

ユーフィ:もう終わりにしよう…!レスト・アルデッ……

 

レスト:ここかァ?

 :      振り下ろした刃を素手で止める

ユーフィ:……なに…!?

 :      レストが楽しそうに不敵な笑み

レスト:見つけたぜェ

 :      ユーフィがとっさに距離をあける

ユーフィ:……ッ…。

 

‪レスト:‬なーに怖がってやがんだよォ?別にあのまま斬りかかって来ても良かったンだぜェ?テメェの言う通り、俺は何も見えてねェんだ。何を怖がる事があンだァ?ケヒヒッ

 

ユーフィ:『……本当に見えてないんだとすれば…なぜあぁも容易くこっちの動きを読めた…?まぐれだとでも言うのか……』

 

‪レスト:‬おぉら、どうしたァ!ビビってないで次来いよォオ!

 

ユーフィ:……フッ!!

 :      レストが避けた

‪レスト:‬よっとォ!

 

ユーフィ:……避けた…!?

 

‪レスト:‬さぁて、どこだろなァァア!!

 :      鎌を振り下ろす

ユーフィ:…ガハァア!!

 

‪レスト:‬ハッハァアッ!大当たりだァア!!

 

ユーフィ:…グッ……。バカな……!一度だけでならず二度も……!!

 

‪レスト:‬アヒャヒャヒャ!テメェもそうやって驚いたりすンだなァ?別に簡単な話しじゃねェか。見えなかろうが、音の感覚があべこべだろうが、まだコレがある

 :      レストが鼻を指さす

ユーフィ:……鼻……?

 

‪レスト:‬テメェの血の臭いがするンだよォ

 

ユーフィ:……まさか……それだけを頼りに…!?

 

‪レスト:‬俺にとっちゃ血の臭いは重要だぜェ?俺を興奮させる一つだからなァ

‪。テメェが少し近づくだけで、強烈な臭いがしやがる。

 

ユーフィ:……こんなくだらない事で……私が貴様などに圧(お)されていると言うのか……!

 

‪レスト:‬そんなムキになるんじゃねェよケヒッ。そこに横たわってる雑魚新人も言ってやがったぜェ?数字は強さに匹敵しねぇってなァ。なァ?そうだろォ?雑魚新人

 

アーベル:…誰が雑魚新人だ…!

 

‪レスト:‬テメェの事言ってんだよォ

 

ユーフィ:……貴様は……一体何者なんだ……

 

‪レスト:‬あァ?俺様は俺様だァ。あーでもそうだなァ、あのレミーの野郎は死に際に、俺を化け物って言いながら死んで言ったぜェ?ヒャハハハ

 

ユーフィ:……あぁ、全くもって同感だ…。貴様は異様過ぎる存在だ……。

 

‪レスト:‬なんだァ?怖気付いちまったかァ? 

 

ユーフィ:余計に此処で始末しておかねばならない危険な存在になった。貴様は必ず、此処で仕留める…!!

 

‪レスト:‬ケヒヒッ!そうだァ!そう来なくっちゃなァア!!

 :      互いに踏み出す

ユーフィ:ハァァァァアアアアア!!(被せる)

 

‪レスト:‬ヒャッハァァァァァァアアアア!!(被せる)

 :      

 :      少しの間

 :      

ユーフィ:………グフッ……ガハァッ……!!(吐血)

 

‪レスト:‬やっぱりファーストォ。テメェと殺り合うのは面白ェよォ!今までの人生で一番……最高、だったぜェ……!ガハッ……

 :      

 :      二人共その場に倒れる

 :      

アーベル:……おいおい………やりやがった…。あのファーストを……本当に……。

アーベル:コイツ……本物の化け物か……。

 :      

 :      アーベルが体を起き上がらせ無理やり動かす

 :      

アーベル:………ファーストは本当に死んでるみたいだな。コイツは……

 :      レストがいきなり起き上がる

‪レスト:‬ダァァアアア!!(さえぎる)

 

アーベル:うおっ!?お前…生きてたのか…

 

‪レスト:‬あァ…?何勝手に殺してやがンだよォ……。ただ寝てただけだァ……!

 

アーベル:…寝てたって……。

 

‪レスト:‬…あァ……?なんか……クラクラしやがる、ぞ……?(倒れる)

 

アーベル:流石にその傷でいきなり動くのは無理だろ…。逆によくそこまで傷だらけになっても動けたな

 

‪レスト:‬俺様は痛感を感じねェからなァ…。だけどよォ……なぜか今日は身体が異様に重ェ……。こんなのは初めてだァ……

‪レスト:‬……あァァ……あの瞬間は初めてで…サイコーだったなァ……。ケケッ…ケヒヒッ…!ヒャハハハハハハ…!!(死にかけの笑い)

‪レスト:‬ダハァ……。……なぁ、雑魚新人

 

アーベル:誰が雑魚新人だ…!

 

‪レスト:‬そこのぶっきらぼうに伝えとけェ。またテメェと殺らせろってなァ…

 

アーベル:ファーストはもう死んでる

 

‪レスト:‬あァ…?

 :      目をユーフィに向ける

‪レスト:‬……ンだよ…。もうこれで終わりかよォ……。また楽しみが無くなっちまったじゃねェか……。

 

アーベル:…理解出来ないな。アンタはそこまでして死にたいのか?死に急ぎ野郎

 

‪レスト:‬別に早く死にてェワケじゃねェ。俺ァ単純に楽しみてェだけだ。命のやり取りをなァ

 

アーベル:そこが理解出来ないって言ってるんだ

 

‪レスト:‬だがよ…サイコーの瞬間を、サイコーに楽しみやがら死んじまうならそれでも構わねェ…!つまらねぇ人生を、つまらねぇ終わらせ方させるぐらいなら…そんな逝き方でも悪かァねェ…!

 

アーベル:アンタみたいな奴が、どうやったらこの世に産まれるのか聞きたいもんだ。アンタの頭のイカレ具合は、

誰も越えられないだろうさ

 

‪レスト:‬……んァ……?…目の前がァ……ボヤけて気やがったぞ……。んだこりゃ……

 :      

 :      レストがそのまま気を失う

 :      少しの間

 :      

アーベル:ダーヴィン…アンタとのしがらみももうすぐお終いだ。

 :      アーベルが歩き出す

アーベル:……不要な根は、残さず燃やし尽くさないとな…