ルドルフ:ルドルフ・バイコ

‪レイトン:‬レイトン・コナー

シルビー:シルビー・ラヴィット

ティア:ティア・ハムレット

 :    

 :    

 :    ルドルフがタバコを一服している

 :    

ルドルフ:……世界を暗躍する組織…No.(ナンバーズ)。未だにその実態は掴めて無く、俺達は手の平で転がされてる。

ルドルフ:そんな奴らが今、組織内で内部抗争を起こしてる…か。

 :    

ルドルフ:〔あのジェシカと名乗る女と会い、話しをしてからどうもおかしい。あれからパッタリとNo.関連の事件が起きなくなった。内部抗争が起きるなんて抜かしてはいたが、本当にそんな事が起きてるだとでも言うのか…?〕

 :    

ルドルフ:……だとすれば、あの女は何者だ。何が目的で俺に近づいて来た……?分からない事だらけだ…。

ルドルフ:まさか……このまま放っておけば、勝手にNo.の組織が壊滅するのか?そんな馬鹿な話し……。

 :    

 :    レイトンが走ってくる

 :    

‪レイトン:‬はぁ…はぁ…はぁ…はぁ、はぁ……!ルドルフさん……!!

 

ルドルフ:レイトン……!?

 

‪レイトン:‬…はぁ、はぁ…!やっと……っ…!見つけましたよ……!

 

ルドルフ:何しに来た?

 

‪レイトン:‬僕も……ついて行きます……!

 

ルドルフ:何言ってやがる…!お前には言ったハズだ。ここからはお前が出しゃばる話しじゃねぇ。俺一人で行動する!

 

‪レイトン:‬…ダメです…!

 

ルドルフ:なんでお前にそんな事言われなきゃならねぇ!お前に出来る事なんか無いんだ!さっさと戻って違う仕事でもしてろ!!

 

‪レイトン:‬僕は逃げません!!(食い気味)

 

ルドルフ:……!!

 

‪レイトン:‬僕は、今、自分の立場から逃げたくありません…!ルドルフさんはこれからも一人で行くんでしょう…

 

ルドルフ:……当たり前だ。俺にはやるべき事がある

 

‪レイトン:‬……そのためなら…命を投げ捨てるって言うんですか…

 

ルドルフ:………。

 

‪レイトン:‬これからも無茶して…意地張って一人で突っ走って……。貴方は死にたいんですか……!!

 

ルドルフ:そんなつもりはねぇよ…

 

‪レイトン:‬だけどこのままなら…いつ死んでもおかしくありません

 

ルドルフ:……どうだろうな

 :    少し間を開ける

‪レイトン:‬ルークさんの話し…聞きました

 

ルドルフ:…………マールの奴が話したのか。

 

‪レイトン:‬…はい

 

ルドルフ:俺の昔話しなんかするのはアイツぐらいしか居ないからな…。全く、アイツはいつも余計なお世話を…

 

‪レイトン:‬僕はルークさんとは違います。僕はレイトン・コナー。ルドルフさんの新人助手です。

 

ルドルフ:あぁ……分かってるよ…

 

‪レイトン:‬いいえ!分かってません!

 

ルドルフ:………。

 

‪レイトン:‬まだルドルフさんに死なれるワケには行かないんです。僕にはルドルフさんの様な知識も経験もまだ無い。才能も努力も足りません。

‪レイトン:‬僕じゃ…No.は捕まえられない…。ルドルフさんじゃなきゃダメなんです…!!

‪レイトン:‬だから貴方が死のうとするなら、僕が止めます!!

 

ルドルフ:どうやってだ?

 

‪レイトン:‬分かりません!けどどうにかして止めます!!

 

ルドルフ:…言ってる事が無茶苦茶だな

 

‪レイトン:‬はい!無茶苦茶です!

 

ルドルフ:……ふっ。口だけは一端(いっぱし)の事言うようになったじゃねぇか

 :    レイトンの頭に手を乗せる

‪レイトン:‬おわっ…!?

 

ルドルフ:お前にそこまで言われたんじゃ、上司の俺はもっとしっかりしなきゃな…

 

‪レイトン:‬はい!

 

シルビー:これ以上は…No.に関わらない事…です

 :    レイトンとルドルフが驚き振り向く

‪レイトン:‬こ、子供……?

 

ルドルフ:……お前は……あの時のお嬢ちゃん…!

 

シルビー:これは警告……です。これ以上…無闇に詮索をしない方がいい……です

 

‪レイトン:‬あぁー…えぇっと……迷子、かな?

 

シルビー:迷子じゃない……です

 

‪レイトン:‬そうなんだ…。でもこんな場所に子供一人で来たら危ないよ?お兄さん達が怖い人だったらどうするの?

 

シルビー:真面目に話しを聞く……です

 

ルドルフ:レイトン(レイトンの肩を叩く)

 

‪レイトン:‬ルドルフさん?

 

ルドルフ:この子は俺と会った事がある

 

‪シルビー:…………。

 

ルドルフ:…さっきの言葉がどうゆう意味か。ちゃんと教えてくれるか?

 

シルビー:このまま首を突っ込めば死ぬ…です。もう、関わるのはやめるべき…です。それだけ…です

 

ルドルフ:……なんでシルビーがそんな事を俺達に言う?

 

シルビー:もうすぐおじさんを殺しにやって来る…です。その前に逃げる…です

 

ルドルフ:誰が俺を殺しに来る?

 

‪レイトン:‬ちょっ…ルドルフさん…!子供の話しですよ…?何をそんなに真剣に聞いて…

 

ルドルフ:お前は黙ってろ

 

‪レイトン:‬……っ…

 

ルドルフ:……お前は、今の状況をちゃんと見定めろ。この子が本当に適当な事を言ってると、この目を見ても思えるか?

 

‪レイトン:‬…………。

 

シルビー:説明をしている暇はない…です。だから早く……

 

ティア:また、なのか……

 

シルビー:………!!

 

ティア:また……なのか……。なんでなんだ……

 

シルビー:お兄……様……!

 

ティア:あれ程言ったじゃないか…。その男に近づくなと……ソイツは君をおかしくさせる……

 

シルビー:ごめんなさいお兄様…!だけど…!

 

ティア:なぜ分からない!!(さえぎる)

 

シルビー:………っ…!

 

ティア:なぜ物分りの良い君が分からない…?なぜソイツに肩入れする…?何が君をそうさせる…?なぜだ……なぜだなぜだなぜだァ!!

 :    ティアが刀を抜き前に突き出す

ティア:全てはソイツのせいだ…。僕達の仲を引き裂こうとする邪魔者だ…!ソイツに近づいたせいでシルビーがおかしくなった!!ルドルフ・バイコ!!

 

シルビー:……逃げて

 

ティア:消えろ…!!

 

シルビー:逃げて!!

 :    ティアが動き出した瞬間レイトンがルドルフに駆け寄る

レイトン:‬ルドルフさん……!!

‪レイトン:‬……ガハァッ……!!

 

ルドルフ:レイトン…!?

 :    レイトンがルドルフの元に倒れる

ルドルフ:レイトン……!レイトン!!

 

ティア:……消えろ……!

 

シルビー:お兄様ァ!!

 :    シルビーが機関銃を振り下ろしティアがとっさに避ける

ティア:……っ…!!

ティア:…………シルビー…?……何を…している……?

 

シルビー:……もう……やめてください……です…!

 

ティア:僕は何をしているのかと聞いているんだ…シルビー……

 

シルビー:シルビーは…ただ……父様と、母様を…知りたかっただけ……です

 

ティア:……父親?母親?

 

シルビー:……ルドルフおじさんに近づけば……何か分かると思って……

 

ティア:…そんなモノ必要ないだろう…?僕と言う存在が居る…!僕と言う存在以外要らない!君の家族は僕だけだ!!君の家族は僕だけだ!!

 

シルビー:……もう……やめましょう……お兄様

 

ティア:……シルビー……?

 

シルビー:……もう……シルビーは、疲れた…です

 

ティア:……なんだ………?これは……

 

シルビー:本当は…知っていた…です。父様も…母様も……シルビーを捨てたのでは無く……お兄様が殺したと……

 

ティア:やめろ……やめるんだ……

 

シルビー:お兄様はずっと嘘をついていた…です。最初から……ずっと…

 

ティア:違う!違うよ!!シルビー!!僕は君を守った…!!君を救ったんだ…!!僕は君のために……!!

 :    シルビーが顔を静かに振る

シルビー:……お兄様はいつだって、シルビーをちゃんと見た事は無かった…です。お兄様は、自分のために父様と母様を殺した…。今までの全部が…お兄様自身のため……自分のためにして来た事…です

 

ティア:……違う……違う……

 

シルビー:お兄様はいつも不安になっていた…お兄様はいつも苦しがっていた…だからシルビーを閉じ込め、自分の目の届く距離に置いた……です

 

ティア:……違う……違う……!

 

シルビー:お兄様はいつだって怖がっていた……です。シルビーが……お兄様から離れて行くのを……。

 

ティア:やめてくれ……!やめてくれシルビー…!!

 

シルビー:……シルビー…知っている…です。お兄様が…本当は……

 

ティア:やめてくれェェエエ工!!

 :    

 :    間を開ける

 :    過去の話しに変わる

 :    

ティア:『君の名前はシルビーだ』

 

シルビー:『シル…ビー……?』

 

ティア:『うん。ここで暮らすには、今までとは違う名前が必要になる。だからこれからは、シルビーって名乗るんだよ』

 

シルビー:『……はい』

 :    

 :    間を開ける

 :    

シルビー:『なんで…人を…殺す……です?』

 

ティア:『僕達がずっと幸せに暮らす為だよ。僕達は、外の世界で普通の人達の様には出来ない。だけど、こうする事で、僕達が幸せに過ごせる』

ティア:『だから君も……やるんだ。シルビー』

 

シルビー:『………はい』

 :    

 :    間を開ける

 :    

ティア:『シルビー!どこへ行くつもりだ!!』

 

シルビー:『……!!お兄……様。少し……外に……』

 

ティア:『あれ程言ったじゃないか!外は危険で、シルビーが危ない目に合うって!勝手に外に出ては行けない!』

 

シルビー:『…お兄様は……いつも外に居る…です』

 

ティア:『僕はシルビーと会う前から外を知っている。だけど君は違う…!外に出れば、何が起こるか分からない。だけどここに居れば何も心配しなくて済むんだ…!!』

 

シルビー:『ずっと……ここに……?』

 

ティア:『そうだよ。ここに居れば、ずっと僕達笑って過ごせるんだ』

 :    

 :    間を開ける

 :    現在に戻る

 :    

シルビー:お兄様はシルビーが勝手に外に出て行くのを必ず拒んだ…です。外出の判断は、基本お兄様。殺しの依頼も…何をするにも…外へ行くにはお兄様と一緒…

シルビー:だからずっとお兄様を見ていて気づいた…です。お兄様はいつだって…シルビーの前で…心から笑った事は無かった……です

 

ティア:…………。

 

シルビー:……もう、そんなお兄様を見ているのは……辛い………です

 

ティア:……シルビー……。もう……いい……。もう……

 

シルビー:本当は……分かってた…です。ずっと前から…お兄様は………

 

ティア:聞きたくないっ!!

 

シルビー:シルビーの…本当のお兄様ではない……です

 

ティア:………アァ………あァァ……アァァァア………アアアァァァァァァアア……!!

ティア:シルビィィイ…!!シルビィィイ!!なんで君はァア…!なんで君は僕を裏切るんだァァア!!

ティア:…………あ……あぁ……なんだ……?カゾクって……なんだ……?アイって……なんだ…?分からない……ワカラナイ……!!なにもわからない!!

 

シルビー:……お兄様…!

 

ティア:……全部君のせいだ……。全部ソイツのせいだ……。何もかも壊れた……分からない……分からない……!!なにがなんだ!?分からない!!なにも分からない!!分からない!!

 :    シルビーがティアに向けて機関銃をかかげる

シルビー:……お兄様…。もう良い…です。苦しみも…不安も……辛さも……。終わりにする……です。お兄様…

 

ティア:……コロスコロスコロスコロスコロス!!そんな事言うのは僕の妹じゃない!!君はシルビーじゃない!君はシルビーじゃないっ!!

 

シルビー:例え本当の家族じゃなくても…シルビーは……お兄様の事が

 :    シルビーが涙を流しながら微笑む

シルビー:……大好きです

 :    機関銃を打ち始め、ティアが無造作に被弾する

ティア:シルビィィィィイイイイイ……!!

 :    

 :    間を開ける

 :    

シルビー:………はぁ…はぁ……はぁ…(涙を浮かべながら息を荒げる)

 

ティア:……ガハッ……アァ…………シル……ビー……

 :    ティアが手を伸ばす

シルビー:……ごめん…なさい……。

 

ティア:僕を……一人に……しないで……くれ………

 :    ティアの手が地面に落ちる

シルビー:ごめんなさい……。ごめんなさい……お兄様……

 :    少し間を開ける

ルドルフ:……一体……何が起こってるんだ……。本当にあんな子供が……殺しを……

 

シルビー:……早く……消える…です。その男、危ない…です。早く行く…です

 

ルドルフ:……わかった…すまないな、お嬢ちゃん。助けてくれて…

ルドルフ:ほら、立てるか?

 

‪レイトン:‬…うぐっ……。ルドルフ……さん……?

 

ルドルフ:……行くぞ。そこの病院ならそんなに遠くない

 

‪レイトン:‬……ですが………っ……

 

ルドルフ:………後は、俺達が関与する事じゃない…。それよりもお前の状態のが大事だ

 :    ルドルフがシルビーに背を向けたた口を開く

ルドルフ:………シルビー。結局俺は…何もしてやれなかった…

 

シルビー:………。

 

ルドルフ:……すまなかったな

 :    

 :    ルドルフが立ち上がり、肩車しながらレイトンを連れて行く

 :    間を開ける

 :    

シルビー:………ルドルフおじさん…。

シルビー:………ありがと………です