第3話


◎死神さん

〇依頼主

 

 

◎おはようございます!

  死神郵便社ワタリドリです!

 

〇……あ…

 

◎……?

  手紙を…お預かりに来ました

 

〇……あっちからは

  まだ手紙来ないんですか?

 

◎……コチラから手紙を送れても

  あちらから手紙が来ることはありません

 

〇……っ…!

 

◎それは最初の時に申し上げたはずです…

  気持ちは分かりますが……これは……

 

〇何でだよ!!

 

◎……うっ……!?

 

〇アンタらは死んだ人に会ってるんだろ!?

  こっちから手紙を渡せるなら貰う事も出来るはずだ!!

  気持ちが分かる?

  お前みたいな子供に何が分かるんだよ!!

 

◎………確かに私達ワタリドリは子供です…

  でも、私達は皆、もう死んでいるんですよ…?

 

〇……はぁ…?何を言って…

 

◎この姿で何十年もの間

  手紙を渡す架け橋をしてきました…

  手紙を渡した人達は皆

  やるせない気持ちを持ち

  涙を流し…人生にすら左右される人もいる

 

〇…………っ………

 

◎そんな人達をずっと見てきて

  私達も何も思わないわけがない…

  もっとやれる事があるならしてあげたい…!

  でもそれは……ダメなんです…

  掟(おきて)を破れば

  あなた達の手紙を渡す事が出来なくなってしまう…

 

〇じゃあ……黙ってこうやって…

  手紙を渡すしかないのかよ…!

 

◎…たかが手紙かも知れない

  でも、そのたった一つの手紙が

  あなたの支えになり

  死んだ人の支えにもなる…

 

〇……くっ…!……ごめん…

  ごめんな……みゆき…!

  俺は…………!俺は………!!

 

◎………あなたの手紙をきっと

  今も待っています

  これからも…書き続けてください…

  ……お願いします

 

〇……これを…

 

◎…………はい……!

 

〇みゆきに……お願いします…

 

◎確かにお預かりしました…!

  この手紙、必ずあなたの大切な人へお届けします!

 

 

 

 

◎私達にはコレしかできない

  それでも、このたった一つの手紙で

  救われる人が居るなら

  私達はワタリドリをし続ける

  今日も手紙を届けるために羽ばたく…

 

◎こんにちは!

  死神郵便社ワタリドリです!!