謎の女:ジェシカと名乗る女
ルドルフ:ルドルフ・バイコ
レミー:レミー・バルケッタ
ティア:ティア・ハムレット
ユーフィ:ユーフィ・レバンノ
司令官:ユーフィ以外誰でも可
A:レミー以外誰でも可
B:レミー以外誰でも可
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: とある喫茶店
:
謎の女:お待たせ
ルドルフ:…アンタが俺を呼び出した張本人か
謎の女:えぇ、そうよ。
ルドルフ:…………。(目付きがキツくなる)
謎の女:そんな目で見ないで欲しいわね。今この場所で私達を見たら、誰でも普通のカップルだと思うわ。喧嘩や言い合いなんかして露骨な雰囲気を出すと、周りから浮いて仕舞うわよ?もう少し考えて頂戴
ルドルフ:俺達がカップルに見えるんなら、そりゃあソイツの目がどうかしちまってるんだろうな。そんな奴には眼科を勧めとけ
謎の女:さっきの話しを聞いてた?気持ちは分かるけどもう少し落ち着いて話しをしてほしいの
ルドルフ:俺はいたって落ち着いてる。見てわかるだろ?
謎の女:嘘よ。だって貴方、どう見たってイライラしてるもの
ルドルフ:そう思うんだったら、このまま俺達が悪目立ちする前に、さっさと話しを済ましちまおうか。さぁ、要点だけ話せ
謎の女:…貴方…女性経験無いでしょ
ルドルフ:俺が本当に経験皆無だったら、こんな美女目の前にして冷静を保っていられない。もっとしどろもどろしてるだろうな
謎の女:あら、私をちゃんとした女性と見てくれてるのね?ちょっと嬉しい
ルドルフ:あぁ、アンタは得体の知れない女だとは思ってるさ
謎の女:……やっぱりさっきの訂正。貴方は予想通りの卑屈な男よ
ルドルフ:無駄話しは要らない。俺が聞きたい事はそんな事じゃなくてだな……
謎の女:シーっ(ルドルフの前に人差し指を出す)
謎の女:………まだ、その時では無いわ
ルドルフ:……は…?
謎の女:今はまだ、情報を貴方に話せない
ルドルフ:おいおい……冗談言うなよ。ここに勝手に呼び出しといてお預けはねェだろ?……俺をバカにしてるのか?
謎の女:えぇ、確かに私は、貴方が来たくなるであろう話しを引き出して、誘導はしたわ。だけど、本当にココに来るかどうかの選択をしたのは、貴方自身よ
ルドルフ:……。
謎の女:今この場では、貴方と私は対等の立場よ。私が知ってる情報を、無償で貴方に教えるワケにはいかない
ルドルフ:………だが、アンタがどこまでNo.(ナンバーズ)の事を知ってるかも分からない。もしかしたら、適当にホラ吹いてるだけかもしれないだろ
謎の女:そう。まだお互いに信頼に値する立場には無い。だからまずは、私達の関係性を作り上げるの
ルドルフ:…ハッ……。付き合いたいならまずはお友達からよってか?
謎の女:それが普通の道理でしょ?
ルドルフ:あのな……こっちは遊びじゃねぇんだ。お前の茶番に付き合ってる暇はねぇ…!
謎の女:私もふざけてココに居るわけじゃない。
謎の女:だからこそ、段階を踏まえて話しを進めようって言ってるのよ。それに、貴方があまりに知り過ぎれば、身の危険がある。それは私にも、貴方にも都合が悪い
ルドルフ:………はぁ…。そうだな。あぁ、その通りだ。アンタの言っている事は実に理にかなってる
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: ルドルフがタバコを手に取る
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謎の女:話しがわかる人で助かったわ(微笑む)
ルドルフ:……ハッ…白々しい。こうなる事を見越して俺の所へ来たんだろ
謎の女:ココは貴方のために、自分が選ばれた人だって言っておくべきかしら?
ルドルフ:そんな言い方された後に、素直に喜べるかよ…
謎の女:それもそうね、ふふっ
ルドルフ:それじゃあ、先にそっちの名前を教えて貰おうか。どうせ俺の名前は知ってるんだろう?それは対等の立場とは異なる
謎の女:うーん…そうね。じゃあ、ジェシカ…とでも名乗っておきましょ
ルドルフ:……やっぱり馬鹿にしてるな
謎の女:バカになんてしてないわ
ルドルフ:バカにしてるだろうが…!洋画のヒロインみたいな名前を取って付けやがって!
謎の女:今、貴方が私の名前を知れば、それすらも貴方が危険になるかもしれない。私はそれを危惧(きぐ)してるの
ルドルフ:そんな事言っちまったら、こうやって話ししてるのだって危険じゃねぇか
謎の女:だから貴方を選んだ。これほどお互いにリスクがある事を、誰にでも話せるわけじゃない。貴方だからこそ、こうやって話してる
ルドルフ:………。
謎の女:貴方はこの映画の主役。私はヒロイン。この関係は映画の中では切っても切れない関係よ。私はそんな関係を築きたいの
ルドルフ:……お前の目的はなんだ……?
謎の女:………貴方と同じよ
ルドルフ:……は……?
謎の女:結果は違くとも、考えは同じ。これ以上は言えない
ルドルフ:………話しにならねぇな
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: ルドルフが席を立ち上がる
:
謎の女:だけどこれだけは言える
ルドルフ:……あ…?
謎の女:……もうすぐNo.は………。
:
: 間を開ける
:
レミー:命とは儚い。命とは切ない。始まりがあれば、終わりがある。必ず訪れる最期の時。その瞬間をどう飾るか。どのような最期を迎えるか
レミー:それで今までの人生、時間、行(おこな)いの全てが報われる。全ての集大成。それが形に残る事で、何にも変え難い、ただ一つの芸術品へと生まれ変わる…!
レミー:例えこの素晴らしい作品が無くなる事になったとしても!僕だけはこの瞬間を忘れない!!
レミー:この命の集大成がこの場に存在し、その事実を僕はこの目に焼き付ける!!あぁ!君達は素晴らしい!!素晴らしいんだ!!最高だ!!最高に最高だァ!!
レミー:…スゥゥゥウ………はぁぁああ…………あぁ……悶えてしまう……
ティア:君は相変わらずの変態度合いだねぇ
レミー:アナタには分かるはずだ。スゥゥゥウ……この芸術が…!
ティア:うーん。美と言うモノには疎いけど、命が終わる瞬間が一番輝くって考えは共感するよ
レミー:……そうか…。やっぱり芸術とは中々理解され難いものだ
ティア:君はこうやって作品を作り上げるけど、結局の所、No.が現場の処理を綺麗にしてしまう。それなのに自分の美学をこの場所で貫き通すのは、なぜだい?
レミー:………芸術とは誰にでも理解を得られるモノではない。あくまでも自己満足の域で、本当はそこに共感を求めるべきではないと分かったんだ。
:
: 間を開ける
: レミーの過去へ
:
A:こんなのは芸術なんて言わないね
A:第一に、こんな気持ち悪いモノを出品なんて出来るわけない。君は海外の美術家なんかを見てこうゆうモノを作ったのかもしれないけどね。
A:ココじゃそんなモノ通用しないんだよ。もっと大衆の目に引きつけさせるモノを作らなきゃ
レミー:『誰もが作れて。誰もが共感できるモノ。そんなモノばかりを求められてきた』
B:今時こんなやり方流行らないよ。夢や理想はそこでとどめて、もっと現実を見なよ?
B:それにさ…これ、なにかを参考にして描いたの…?気持ち悪くてどこも出してくれないよ。こんなモノ
レミー:『僕の全ては否定されて。ゴミ箱へ捨てられて。燃やされて。灰になった。』
レミー:『僕の作りたいモノ。僕が今まで求めてたモノ。なにも分からなくなった。考えれば考えるほど、僕の中の僕が悲鳴をあげ!叫びをあげ!泣き叫ぶ!!』
レミー:あぁ……!あぁぁあ……!!あぁぁぁああああ!!僕の居場所はない!!僕に存在価値なんてない!!僕の作り上げてきたモノは……!!全部……!全部ゴミなんかじゃないっ!!
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: 現在に戻る
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レミー:………ココが君達の居場所だ…!!僕だけは君達を忘れない!ココが僕達の……桃源郷だ……!!
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: 間を開ける
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ティア:彼は相変わらずだった。僕ですら理解が及ばない程、美に執着した芸術狂い。その域は人間のソレを超えているよ。
ティア:ま、僕達はとっくの前に、人間なんて概念を捨てては居るんだけどね。
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: ティアがテーブルに置かれた花瓶の花を握りつぶす
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ティア:僕達は道徳という道を外れた殺し屋だ。もう人の道になんて戻れはしない
ユーフィ:…彼がどうであろうと構わないですよ。彼は組織の意向に背く事無く、与えられた命令を忠実に聞いている。
ユーフィ:彼のやり方がどうであれ、組織のために動くのであれば、口出しするつもりはありません
ティア:大層なお考えだ。あれだけ好きにさせてくれれば、確かにココに身を置いた方が都合がいい
ユーフィ:ですが……もし、組織の害になる存在であれば
ユーフィ:誰であろうと…迷い無く処分する(口調変わった瞬間圧が掛かる)
ティア:無意味に抗おうなんて考えを起こす人はココにはいないんじゃないのかな?ごく一部の存在を除いては、ね
ティア:……新しく来たフォースを君はどう思う?
ユーフィ:今の所は、問題を起こす素振りはありませんね。組織の判断で彼は現フォースの地位に着く事になりましたが、果たしてそれは正しかったのやら…。彼の事は私もまだ詳しく知らない。故に彼は危険です。要監視しておいた方が良いでしょう…。
ティア:ダーヴィンとの繋がりはなんだ?彼はダーヴィンに拾われたって話しを聞いていたけど
ユーフィ:そうらしいですね。もっとも、そんな事を知っていたのは組織内でも一部の者だけみたいですが
ティア:その口振りだと君は知っていたのかい?
ユーフィ:いいえ。それは私の関与する所ではありません
ティア:それもそうか。君はそうゆう人だ。それにしても、殺し屋が子育てかぁ…。一体どこのおとぎ話だろうね?しかも相手があのダーヴィンだ。誰がそんな話し信じる?
ユーフィ:………。
ティア:……ダーヴィンを殺したのは、本当にアーベル・サルマン?自分の育て親を、自らの手で殺めるかい?
ユーフィ:……踏み入れる場を間違えると、貴方も標的となる。もう少し、慎重になるべきです。
ティア:無駄な詮索はするな、と?
ユーフィ:……二度も、言わせるつもりか…?
ティア:分かったよ。深追いはやめておこう。…じゃあ話しを変えようか。
ティア:それとは別に、組織内でなにやら怪しい動きをしてる人物が他にも居るみたいだ。目的はなんにせよ、変な事をされて、コッチが動きにくくなるのは状況的に良くないね
ユーフィ:組織内の不安要素は早めに処理しなくてはなりません……。いざとなれば、貴方にも手を借りるかもしれません
ティア:ははっ!これは滑稽だ!あの孤高のファースト様が他人の手を借りたいって?
ユーフィ:これは組織全体に関わる問題です。私としては不本意ですが、念入りに越したことはない
ティア:……だけど僕は、君と違って組織内のゴミ処理じゃないよ(圧をかける)
ユーフィ:……組織全体に関わる問題と言ったはず。貴方の大事な妹にも危険が及ぶ可能性がありますが、それは構わないと?(圧をかけて)
ティア:んー、その引き出し方はズルいなぁ。そんな事言われちゃ君に協力するしか無くなるじゃないか
ティア:………シルビーにだけは……手を出させないよ。誰であろうとね
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: 間を開ける
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レミー:お呼びですか、ファースト
ユーフィ:えぇ。貴方には新たな任務が課せられた
レミー:なんでしょう?
ユーフィ:貴方の狙い通りですよ。彼は等々、組織から見限られた
レミー:彼、とは?
ユーフィ:レコードIII(スリー)レスト・アルデッド。彼の処理を貴方に任せられました
レミー:……!!
レミー:なぜファーストの貴方じゃなく、僕が?
ユーフィ:今、組織内部を荒らし回るような不安要素が多すぎる。ゆえに組織上層部の判断としては、総合的に現状の沈静化を済ませ、不安要素を早めに取り除きたいとの事です
レミー:……なら、なぜ、僕が彼の処理に選ばれたか。理由をお尋ねしても?
ユーフィ:意図はありません。それがただ単に、組織の意向でそうなったに過ぎません。私達はその意向に沿って行動するのみです
レミー:…そうか。なんにせよ……僕は彼を気に入らなかった。昔からずっと……!ずっと気に入らなかった!!あっはは!彼の顔をココでわざわざ見る事が無くなるなら!僕は喜んで彼を殺しに行きますよ!
ユーフィ:任せましたよ
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: 間を開ける
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ユーフィ:……アーベル・サルマン。貴方はあまりにも危険過ぎる。彼の死の真相を知っているなら尚のことだ。
司令官:『ダーヴィン・スレイフ。奴は我々組織に銃口を向ける。事が大きくなる前に、奴を処理しろ』
ユーフィ:……ダーヴィン・スレイフ。貴方はどこまで行っても、厄介な存在でならない。
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: 間を開ける
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ルドルフ:………話しにならねぇな
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: ルドルフが席を立ち上がる
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謎の女:だけどこれだけは言える
ルドルフ:……あ…?
謎の女:……もうすぐNo.は………。
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: 間を開ける
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謎の女:内部抗争が始まる……!