◎死神さん
〇天郷(てんごう)
〇今までお勤めご苦労様
◎天郷様…
〇君は今までの経験で何を学んできた?
◎僕は…当たり前の日常は無いのだと感じました…
それが毎日ある様に感じたからこそ
当たり前に感じる
…でも、いざ、その当たり前が無くなった時
もっとあぁしておくべきだった
もっとこうしておけば良かった
そう後から思っても手遅れになる…
〇そうだね…
当たり前に感じる日常に
もっと感謝や当たり前じゃないと言う自覚を持つべきだ
◎僕は全く母を覚えていません…
ですが、母もきっと
産まれたばかりの僕にたくさんの愛情を与えてくれ
その恩返しをするために
ワタリドリになったのだと感じています…
〇……成長したね
君は十分な経験をその身に得たようだ
君を正式にワタリドリ卒業を認めよう
◎………はい…
〇…少し…寂しそうだね…?
◎寂しい……
そう…ですね…。今まで触れてきた人も
感情ももう見ることも触れることも出来ないのは
寂しいのかもしれません…
〇……でも、学んできた事全ては
君のここにずっとある
忘れる事がない限り…
◎……はい。僕の…
僕を作り上げた…何物にも変えられない
…宝物です
〇卒業するに当たって
君への最後の贈り物だ
◎……っ!!お母……さん……
〇役目を終えた君は
家族の所へお帰り
◎天郷様……!
〇さぁ…お母さんが待っているよ
◎お母さん…!僕は…!
僕はずっと……!!
〇ワタリドリは誰かの為に架け橋となる
そうして苦労や喜びを知り
全ての役目を終えた幼子達は皆
自分の帰るべき場所に帰る
君達の成長を見届ける私も
もしかしたら寂しいのかもしれないね…
……今までありがとう。ワタリドリよ