哀しみの先にあるモノ


〇東堂 海斗(とうどう かいと)

◎東堂 麻耶(とうどう まや)

△復讐者

 

 

 

〇………ん……うぅっ………ここ、は…?

 

△やっと目覚めました?海君

 君があまりにも気持ちよさそうに寝たままだから

 危うくコチラも寝てしまうところでした♪

 

〇…お前…は………

 

△私を忘れてしまった?寝ぼけているのでしょうか?

 それともわ、ざ、と?

 

〇誰がお前を忘れるかよ…!

 

△よかったぁ!

 ここに連れてきた際に記憶が飛んでいたらショックを受ける所でしたよぉ

 

〇連れてきた?じゃあやっぱりお前が俺を……

 

その節はどうもすみませんでしたねぇ…

 少々手荒なマネをいたしまして

 

〇……ここは倉庫か?

 

えぇ。ここは海沿いに数多く並んだ使われていない倉庫の1箇所

 

〇なぜそんな所に連れてきた…!それにこの手錠……!

 

△君には大人しくして貰いたいのでねぇ 

 なんせ、コレを見せたら大人しくも出来なくなるでしょうから…

 

◎お兄ちゃん!?

 

〇…………っ!?麻耶!?

 

さて、説明と入りましょうか

 

◎お兄ちゃん‼ここから出して‼

 

麻耶君が今いるこのボックスの中、これはとても頑丈でね。

 カギのかかった扉からじゃないと彼女を助けられない

  そんな麻耶君…可哀想にも死に場所はここになるんですよぉ

 

◎キァァア!

 

〇麻耶!!

 

このボックス、一定時間事に中を1本ずつ刃物が突き刺さりますぅ。

 最終的にはミンチの様に切り刻まれる事に!

 

〇やめろ!麻耶に手を出すな!

 

手を出すな、ですか…クククっ

 

アァっ!!嫌だ!痛い!痛いよ!!お兄ちゃん!

 

〇…っ!!やめてください!!お願いします!!

 

随分と潔いのですねぇ。ですが

 

◎やめて!お願いだから!痛いのは嫌っ!!

 

止める気は毛頭(もうとう)ありません

 

◎ガハッ…!?お兄…ちゃ…

 

〇麻耶ぁぁあ!!

 

感じますか?家族の痛みを。痛いですか?海君の心が

 

お兄ちゃん……怖いよ……死にたく……

 

△これが私の感じた痛みですよ

 

ないよ………

 

〇俺が…!俺が何をしたって言うんだよ…!!

 

君自身は何もしてはいない。君の父親が原因さ。

 私の家族を滅茶苦茶にしてくれた東堂 正仁!!(とうどう まさひと)

 

〇親父(オヤジ)が…?何を…

 

一言じゃ語りきれない。

 語りきれないさ…

 だからこうやって気楽に楽しく過ごしている君達が許せないのさ……!!

 

………アァっ!!

 

△恨むなら父親を恨むんだね

 

…………見えない……よ…お兄…ちゃん。

 

〇…………麻耶ぁ……嘘だ……!

 

………どこ…?お兄ちゃん……

 

〇お兄ちゃんは…ここだぞ…?

 

△家族が目の前で失われる気持ちは痛いほどわかる

 本当に心苦しい…

 でも、それでも私はやらなくてはいけない。

 それが残された私の使命だから

 

…………死にたく……な……っ!!

 

〇………麻…耶?

 

……………。

 

〇…………………麻耶ぁぁああ!!

 

△残るは海君。君だ

 

〇違う!こんなの違う!!夢だ!!夢だ!!

 

………現実だよ

 

〇早く目覚めろよ俺!クソっ!クソっ!!

 

△………はぁ…

 

〇早く目覚め…

 

目を逸らすな!!コレが現実なんだよ!東堂海斗!!

 

〇っ!!……なん…なんだよ………これ……

 

今の君を見ているとあの時の私を思い出すよ。

 ……今、苦痛から解放してあげるよ

 

 

 

終わったよ。これで私もやっと解放されるんだね

 …お父さん……お母さん……。