大きな一歩



○瑞希(みずき)

◎友貴(ゆうき)



○嘘...。そんな...大会がもうすぐあるのに...!!どうにかならないんですか先生!先生!!




◎瑞希...。


○私もう...歩くことすら出来ないって...笑っちゃうよ...。


◎...頑張ってリバビリすればまた...!


○無理だよ...


◎なんでそんなこと言うんだよ、そんな簡単に諦め...


○簡単じゃない!!簡単なんかじゃないよ!!


◎...瑞希......。


○もう...出ていって...。


◎出ていかない。このままほっとけるわけないだろ


〇出てけ!!


◎痛っ…!何すんだよ!


〇お願いだから……1人にさせて………!


◎……瑞希




◎よう、体調どうだ?


〇また来たの?


◎当たり前だろ。瑞希が走りたいって言わない限りはしつこく付きまとうぞ


〇…ストーカーですか…全く…


◎どうとでも言え


〇何回来ても無駄だよ


◎なんでだよ


〇もう歩けないから


◎決めつけるなよ!お前の夢はそんな簡単に捨てられる物だったのかよ!


〇簡単?簡単なわけないじゃん!!


◎…っ!!


〇どれだけ立てるって考えても!どれだけ立ちたいって思っても!立てない!!立てないの!!!


◎…………。


〇普通に歩けて普通に生活できる友貴には分からないよ……


◎……わかった。今日は帰る。でもな、瑞希が歩くって言うまで何度でも来るからな!


〇………ホント…お節介………。





○はぁ...はぁ...あと1歩...!...動いて...!!痛っ...!!...なんで...なんで動かないの!!私はもう一度...走りたいの!友貴と一緒に!


◎瑞希!あまり無理するな!


〇最近までグチグチうるさかったクセに何言ってるの…


◎…だからって……そんなに切羽詰めて(せっぱつめて)もよ…


〇呑気(のんき)にしてられない…!もう、大会まで時間がない


◎………俺が出来ること、出来る限りしてやるよ


〇……友貴…


◎だから一緒に頑張るぞ!


〇うん!