旧愛のアンチテーゼ


〇皐月(さつき)

◎圭吾(けいご)

 

 

〇…はぁ、はぁ…はぁ……やっと!

 やっと見つけたよ!!姉さん!!

 

◎…アンタ、また来たの?

 

〇僕は何度でも来るよ。

 姉さんを止めるのは僕の役目だ!

 

◎呆れるわホント…何回目よ?このやりとり

 

〇今なら…今ならまだ間に合う!

 もうやめてくれ!姉さん!!

 

◎…間に合う?

 これだけ人を騙して堕ちることまで堕ちて…

 もう、抜け出せない泥沼に浸ってるのよ!!

 

〇そんなの言い訳だよ…。

 

◎何を言っても無駄。

 私は知ったの。

 誰かにすがって生きることの無意味さを

 

〇…どうしてそんなこと…!

 昔の姉さんはそんなんじゃなかった!

 

◎何を知ったような口を……

 

〇僕には分かる!

 姉さんは1人で背負って辛いのが…!

 あんなに孤児院の皆に優しかった姉さんが……!

 こんなことするはずが……

 

◎私を分かりきった様な言い方はやめて!!

 

〇…っ!

 

◎アンタに何が分かるのよ……!

 私の…何が分かるって言うの………。

 

〇僕達は………弟姉(きょうだい)じゃないか…

 

◎…………所詮、行き場がなくて

 寂しさ余りに家族ごっこやってただけじゃない………!!

 

〇違う!僕達は………!!

 

◎もう誰も信用できない。

 信用なんてしない方がいいの…。私のこともね

 

〇な…!待ってよ姉さん!!話しはまだ…!!

 

◎圭吾……

 

〇…がはっ!!

 

◎アンタは本当にお馬鹿さんね。

 もういいのよ?どうせ血の繋がりもないじゃない…

 

〇待ってよ姉さん!

 僕には…僕には姉さんしか居ないんだ!

 だから、姉さん…!!姉…さん…

 

◎こんなことする私も

 人のこと言えないぐらい大馬鹿者…か…。ははっ…

 

 

 

◎………私はきっと、もう戻れない。………ごめんね。