星空流星群


 

〇優斗

◎和也

△菜月

 

 

◎俺たちは

   あの遠くに光る星を目指して走り続けた

 掴めもしないと分かっていても…

   ただ、がむしゃらに…

 

 

 

△優斗!早く早く!!遅れちゃうよ?

 

〇ちょっ…待ってよ……二人とも早すぎ…

 

◎お前が遅すぎるだけだって。

   ほら、手、掴めよ

 

〇ありがと…はぁ…はぁ…

 

△とうちゃーっく!

 

◎優斗…見ろよ…あれ…

 

〇…え?

 

(空を眺め)

 

〇…はっ…!!

 

△わぁぁあ!キレイ…!

 

〇これが…

 

◎ここが…

    俺たちのずっと目指してた場所だ…優斗

 

〇すごいや…これが…流星群…

 

△今の12月に流れる流星群は

   ふたご座流星群っていうんだって

 

〇へぇ…時期によって違うんだ?

 

△ねぇねぇ!

 

◎ん?どうした?

 

△願い事!願いことしようよ!

 

◎バカか!それは流れ星だろ!

 

△いいの!!

   こうゆう時ぐらいしか効き目なさそうじゃん!

   …それに…

 

△……それに…

   せっかく苦労してここまで来たんだからさ…

 

◎菜月…。

 

〇…二人とも…ありがとう

 

〇あんな昔の約束なのに…ずっと覚えててくれて…

 

◎当たり前だろ!

 

(優斗の肩に和也が腕回す)

 

〇おわっ!?

 

◎ずっと病院の中でお前は戦ってきた…

   必死に戦い続けてきた。

   他の人みたいに外で遊べなくても…

   痛みや苦しみばかりの生活だけど…それでも…

 

△…和也…泣かないでよ…

 

◎それでも…お前は…頑張って来たんだから…!

 

〇…はは…。ありがと…和也

 

〇……僕、手術する日が決まったんだ…

 

△…え!?いつ…

 

〇……明日

 

△え!!?

 

◎は!?そんな…急に…

 

〇急じゃないんだ…少し前から決まってはいた。

   けど、それを二人に伝えたら

   せっかく今日のために準備してくれた二人が…

   僕のためにって連れ出してくれなかったでしょ…?

 

……。

 

〇今日は…今日だけは

   特別な日で一日を迎えたかったんだ…

 

△優斗…手術は…絶対成功するものなの…?

 

〇わからない…。

   今までずっといろんな手を尽くしてきたけど…

    結局は悪くなっていく一方だから…

 

△…そんな…

 

〇でも…僕は…

 

◎だったら!!俺達で祈るしかないじゃん?

    絶対に良くなるように

 

△それ私がさっき言ったらバカにされたー!!

 

◎細かいことはきにするな!ニヒヒ!

 

△ずるーい!!

 

〇あははは

 

〇僕は恵まれてるね。こんな二人に出会えて。

   こうして僕のことを考えて…思ってくれる…

    それだけ…僕の今までの人生が報われる。

   そんな気がする…

 

〇いや……報われた…

    だからこうして僕は今…うれしくて泣いてる…

 

△…優斗

 

〇辛さや悲しみじゃなくて…これは幸せな涙なんだ…

   なんて…なんて暖かいんだ…!

 

〇菜月…優斗…本当に…ありがとう

 

◎そうやってすぐに俺らを泣かそうとすんじゃねーよ!

    このっ!

 

〇あははは!痛いよ!

 

△…私達…待ってるから。またここに来れる日を…

    待ってる

 

〇…うん。ちゃんと戻ってくるから。待ってて

 

 

 

◎俺達は、また約束を交わした

 

△また、必ず約束を守るために…

    私達がここで消え終わらないように…

    そう、願いながら…

 

〇静かに空を眺めた…夜空はまぶしくて…

   とても目を開けていられなかった