正しい選択


僕は…また何か間違ったのかな? 

 

 

いつもお父さんによく叱られた

その中で一番良く覚えているのは

 

「お前は間違ってる。なんでそんなこともわからないんだ」

 

いつもそう言われてきた

他の子より勉強もスポーツも出来なくて

何の取り柄もない

 

それでも僕はお父さんとお母さんのために頑張った

でも何より頑張ったのはお姉ちゃんに対してだった

 

お父さんはお姉ちゃんをまるで自分の所有物の様に扱った

お姉ちゃんを独り占めしてた

 

僕が頑張っていれば

お父さんはお姉ちゃんに酷いことはしなくなるの?

 

僕が出来れば、お母さんはもっと僕達を見てくれるの?

 

僕はお姉ちゃんを守りたい

それで一心だった

 

お姉ちゃんは誰よりも優しく

誰よりも僕を愛してくれた…

 

そんな僕もお姉ちゃんが大好きで

愛している

 

だからこそ…許せない…!!

お姉ちゃんを独り占めするお父さんを

 

お姉ちゃんを苦しめる人間を…!

お姉ちゃんを辛くさせる世の中を…!!

 

 

でも僕は…何が正しくて

何が間違った事かが分からなかった

 

だから考えた

 

お姉ちゃんが大好きだから

お姉ちゃんを守りたかったから

 

だから僕は…

 

     (落ちる金属音)

 

これで良いんだよね?お父さん

 

僕、ちゃんと出来たよ

 

 

お姉ちゃん……大好き…

 

 

ああぁぁぁあ!!!

なのに!なのになんで!?

 

お姉ちゃん…!!

お父さん!!お母さん!!

 

僕…僕、また間違っちゃったの!?

何が正しくて、何がいけないの!?

 

分からないよ!分からないよ!!

 

僕は…!僕は……!僕は!!

 

 

 

                     

 

僕にとって、それはとても難しい問題だ

テストよりも、教科書に載ってる問題よりも

 

何よりも遥かに難しい

 

 

お姉…ちゃん……。これで、良いんだよ……ね?

コレでもう………苦しくないんだよ…………ね?

 

 

僕はお姉ちゃんを守れたはずなのに…

なんでこうも

 

 

胸の奥が痛むんだろ…………。