◎木鈴 梓(きすず あずさ)
〇松家 貴斗(まつか たかと)
〇君を…撮らせてほしい
◎君は言った
写真とは、その日その時の一瞬を
宝物として残せる一つ技術だと
◎んー…!いい風!
とても綺麗な場所だね
〇この浜辺は
僕が初めて展覧会に載せて貰えた場所だ
◎じゃあ…
ここが松家君の始まりの場所ってことだ!
〇そうだね…
ここがあったからこそ
今の僕があるんだと思う…
◎松家君の思い入れがある場所で私が撮って貰えるなんて
何だかおこがましく感じちゃうなぁ…
〇僕は…木鈴さんだからここで撮りたいんだ
◎そっか…
なら、たくさん撮って貰わなきゃね…!
〇透明に透ける浜辺を背に
君をこのカメラに写す。
何を語る訳でもない
ただひたすらにシャッターを押し
心残りが無いように…
撮り続ける…
◎見せて?
〇いいよ。はい
◎わぁ…綺麗…
こんな風に撮って貰えるなんて…
ありがとう!松家君
〇…次の展覧会
…この写真で応募していいかな?
◎え?…でも…
〇この写真が良いんだ
◎……うん。わかった
写真、使って
〇ありがとう…!
それと…もう少し撮ってもいいかな?
◎もちろん!
〇何枚も撮っている内に日が暮れていく
時間が経つにつれ不安になるんだ…
明日、この町を去る君を
……笑顔で見送られるか
◎松家君……
私の事…忘れないでね…(ボソッ)
〇君はずっと…
僕の宝物だ