願うばかりです


 

微かに

君の手は…震えていた

 

握りしめていたその手は

確かに震えていた

 

でも、その手を掴むことはできなくて…!

伸ばすことは愚か…

 

願うことも許されない

 

泣かせてごめんよ…

我慢させてごめんよ……

 

それでも僕は決めたんだ…!

 

これ以上僕のせいで君を縛り付けたくない

 

実は知っているんだ…

君はいつも…僕の病室から出ていくと

暗い待合室の隅で泣いていること

 

もう…いいんだ

 

どうせ長くも持たない僕の人生に

君を付き合わせるのはやめた

 

好きだとか…

愛してるなんて簡単な言葉じゃ…

 

…どうにもならない

 

ならいっそ、僕を振り切って僕の見えないところまで行ってくれ!

 

その先に君の幸せがあるなら

今よりも幸せな未来があるならば…

 

どうか僕を…

…ここに置いていってほしい…

 

だけど…最後のわがままを言うならば

いつかの君の未来に僕が居座れたら…

 

君の隣に座る誰かが

僕だったら…

うれしいのにな…なんて言ってみるよ…

 

ごめんね…ありがとう…

これからもずっと…僕は君を想ってる…。